劇映画「朱霊たち」の紹介


昭和64(1988)年渡仏、以来ヨーロッパで活動を展開する現役の舞踏家 岩名雅記(61歳)が彼自身の脚本、演出 製作により4年がかりで完成した長編舞踏劇映画です。岩名は昭和42(1967)年、ドラマ制作を志してTBS(東京放送)に入社しましたが時代状況の変化により昭和44(1969)年これを断念、以後、演劇と舞踊に転進、TBS時代に短編一本を制作して以来実に40年ぶりに念願の初長編劇映画を制作したことになります。

主題は「死を生きてみせる生命そのものの技術(<岩名雅記舞踏論集>より)」という現代舞踏50年の基本テーマです。すなわち生の中に死の意識を認識することで初めて生というものが確かな手ごたえのあるものになることをドラマを通じて検証します。また人間ドラマの展開と並行して「水」をはじめ、様々な物質を通して生命の実相を描いていきます。

キャストは舞踏家を中心に日本人のみならず、仏伊から個性豊かなキャラクターを選出、「演技」というよりはソロ舞踏家の「存在」によるドラマを目指しました。撮影は若干30歳ながらフィリップ・ガレやパトリス・シャローなどフランス現代映画の巨匠たちの長編劇映画でアシスタントを担当した女流カメラマン、パスカル・マランです。

クランク・インは2004年7月17日、岩名の仏・南ノルマンディ宅で開始、仏ブルターニュ海岸ロケ1週を含め8月末までにノルマンディ・ペルシュ地方で主要部分の撮影を終了。
撮影半ばで主演の澤 宏の落下事故があり、急遽シナリオを改訂、20005年1月リテークを経て、2006年2月編集を完了しました。現在、オリジナル版と国内上映用の修正版があり、字幕は和、英、仏、伊、独の5版があります。

(長篇 104分・白黒16ミリ、 スタンダード)

シノプシス


本作品の舞台は第二次大戦7年後の東京。空から撒かれたビラを追っ て不思議な館にたどり着いた少年の夢と現実が織り成すドラマである。 そこには陽射しに当たることの出来ない難病(病理学的にはポルフィ リン代謝異常と言われるものだがここでは仮定された病い)を持った 人々が幽閉されるように暮らしている。ケモノのヒズメの手を持って 生まれ、見世物として口で文字を書く事を生業(なりわい)としてき た通称「ヒズメ」、お女郎でありながら心中未遂して心と体に傷を持つ 女ネアン、そして話せず聴こえず歩くことも出来ぬ年齢不詳の女マリア、 そして今朝縊死したばかりのカケラである。彼らは一日でも早い死を 願って行政による「ガス放出」の日を待っている。彼らを監視するの が特攻帰りの男ヒノマルだが、戦争で死ねなかった無念と死んでいっ た仲間への哀惜とで自身もひたすら死を祈願している。そんな日に少 年が館に舞い込み、その翌日、行政からガス放出の連絡が来る。死ぬ ことの出来る喜びも束の間、たとえヒノマルが前年冬に館から脱走― 陽光死したマスキヨに成り代わりおおせても、行政の指定する「生き る者5名」という条件に1人満たない。なぜなら自死したカケラをヒ ノマルが館の中にある道穴に放り込んでしまったからだ。噂によると この穴は山谷まで通じていると言う。生きる者5名という条件を満た す為には死んでいるカケラを何処まで続くか知れぬ洞穴へ捜しに行か ねばならない。死にたい人間たちの最後の「生き様」が始まる------。

主題は「死を生きてみせる生命そのものの技術」という現代舞踏50年の基本テーマである。 すなわち生の中に死の意識を認識することで初めて生というものが確かな手ごたえのあるものになることをドラマを通じて検証する。具体的には祈りと呪い、カタチとココロ、モノとヒトといった生命の実相を人間ドラマの展開と並行して「水」やさまざまな物質を通して描いていく。

キャストは舞踏家を中心に日本人のみならず、仏伊から個性豊かなキャラクターを選出、「演技」というよりは舞踏家の「存在」によるドラマを目指す。撮影は若干27歳ながらフィリップ・ガレ作品などを担当した女流仏人カメラマン、パスカル・マランである。




出演者

澤 宏

Valentina Miraglia(伊

Mohamed Aroussi(仏)

長岡ゆり

滝原祐太(子役)

首くくり栲像

根岸良一

若松萌野

七感弥広彰




スタッフ

*製作 株式会社 環境テレビトラスト + 舞踏研究所 白踏館

*プロヂューサー 小泉 修吉、岩名 雅記、川井田博幸

*製作監督 ベロニク・レビ

*監督・脚本 岩名雅記

*撮影監督 パスカル マラン

*ポストプロ ティンゴ フィルム


*撮影協力 仏・ペルシュ地方自然公園+クールボワイエ城館

仏・ベルベンシェール自治体+ペリエール工場跡地
仏・サン・ブリヤック市役所+ギャルド海岸
仏・オルヌ県レベイヨン自治体
仏。オルヌ県モルターニュ市と周辺町村
そのほか周辺市町村とペルシュ地方の人々。

*撮影機材協力 フランス・コダック社、テクノビジョン